抜群のコピー機
手書き文字認識の専門家を二人、ボストンから呼び寄せ、ぼくたちの技術を査定した。
それから、紹介先のリスト、参考文献のリストの提出を求めた。
ぼくはリストを作って郵送した。
彼はリストに載っている紹介先にすべて電話した。
ようだ次に会社にやって来たときは、RとKと別々に会った経営幹部の保険契約や任務の内容まで丹念に目を通した。
これでもう、あとは決断の問題だと思ったが、それはまだ冶まりにすぎながった。
ふたたび、Kを質問攻めにした。
熱の放散とディスプレイ技術がひっかかっているようだった。
手書き文字を認識するスピードの見通しをたずねてきたので、ぼくたちはすぐに、もっともらしい書類を作った市場リサーチに関する資料が何かあるかと言うから、それもすぐに送った。
その後、東海岸の別のパートナーにGOを訪問するよう勧めたようだ。
サンフランシスコにふたたびやって来て、このときはBCも同席した。
しかし、西海岸のパートナーはなかなか煮え切らず、JとBはその人のオフィスに押しかけて説得につとめた「うちのパートナーはまだいくつか疑問をもっています」と、その男は言うそこでは、また別なコンサルタントに相談した。
驚いたことに、ニューヨークにまた別なパートナーがいることがわかった。
そのパートナーがいちばん力をもっているようで、その人もまだ首を縦に振っていなかった。
「ニューヨークにお越しいただけません?」とファ ノウは言う迅速に対応するはずが、上すぎて何も決まらなかった。
すでに八週間以ニューヨークから電話があった。
会議のため、シルパラドまで来たという。
ナパバレーにある豪勢なリゾート地だ「空港に行く途中に、そっちに寄りたいんだが」ぼくたちはホウエグを出迎え、ひと通りの説明とデモをおこなった。
あと、空港まで送りとどけた。
それから一週間すると、電話があった。
今度は、アリゾナ州スコッツデルのプリンセスホテルにいるという「デュデリジェンスをいっしょにできる人が誰かいるかね。
要するに、金を出しそうなところが他にあるのかと聞いているのだ。
「デュデリジェンス資家の責任のことをいうぼくは運よく、その電話があった。
日に、高級イタリアンレストランの前で、JDにばったり出くわした。
プレゴというその有名レストランは、イッピがたむろするユニオンストリートにある資金調達計画を見直したいので、すこし時間をさいてもらえるかと頼んだ。
すると、Jはなんと、通りの隅にすたすた歩いていって、そこに腰を下ろしてしまったぼくはその横にすわり、簡単に経過を説明した。
「順調じゃないか。
その調子で行け」とJは浮浪者のように道路脇にしゃがみこんだ。
二人の横を、通行人は顔をそむけるように足早に通り過ぎていくぼくたちが一千万ドルを超える資金調達について話し合っていると知ったら、びっくりしたにちがいないジェイホウエグの言ってきたことについては、どうすればいいだろうと相談してみた「セコイアに電話しろと言えばいいセコイアはもう調査を済ませている。
しかりに金を出さない決定を下しているにしても、ジェイに情報は与えるだろう。
凡なかなかいい考えだった。
ぼくはすぐに電話を入れたが、二週間の休暇をとってナンツケットに行っているという休暇から戻ってきたとき、彼をつかまえた場所は、カリフォルニア州モンテレのハイアットホテルだった。
投資家の会議に出席しているらしい。
十月の初旬だったが、ぼくは汗をかいていた正確にいうと、冷や汗が出はじめていたさんざん動きまわり、いろいろなところが関心を示した。
くれたが、まだ何も決まっていない。
リードさえ決まっていないのだ。
「ジェイどうか決断してください」「わかった。
「もうあと四週間分ぐらいしか金がないドギ-ディナー行きだ。
どこも、あの値段じゃ買ってくれない」「わかった。
」Jのため息が聞こえた「千二百万ドルまで下げて、話をまとめようそうみんなに伝えろ」ぼくは電話をかけまくった「出資した。
いというところはたくさんあるんですが、まだリドは決まっていません。
プレマネーで、千二百万ドルそれで、手を打つのかどうか知りたいんです。
月曜日の午後五時までにご返事くださいJのアドバイスどおりに、これがラストチャンスということを匂わせた。
つかまえることができた。
六、七人には、できるかぎり質問に答えた。
つかまらなかった十五人には、ボイスメルにメッセージを残した。
月曜日の午後六時になっても、電話は一本もなかった。
こっちが焦っているのを読まれたのかもしれない。
綱渡りのロプがぷつりと切れ、真っ逆様に落ちていくような感じだった。
「筆記体の手書き文字認識について、面白い記事が出てますよ」トッドアグルニツクがぼくの部屋の戸口に、新聞をひらひらさせながら立っていた「この人に連絡した。
ほうがいいんじゃないですか。
ぼくは疲れ切って、身体中の力が抜けていた身の回りのものを整理して、家に帰れ。
もう二度と会社には来なくていい、そう言いたい気持ちだった。
認識のエキスパートを雇う予算は以前から計上していた。
喉から手が出るほど、優秀な専門家が欲しかった。
しかし、いまさら何になるだろう。
しかしと、思い返した。
みんなを不安にさせるのはよくない。
とくに、ぼくは新聞を手にとった。
なんと発音するのかわからない外国人の名前があった。
文字の上に、奇妙なアクセント記号が付いているラシャボジノビック博士、と読むんだろうか。
バッファロにあるニューヨーク州立大学となんらかの関係がある人物、ということぐらいしかわからない。
どうでもよかったのだが、トッドの手前、いちおうその大学に電話をかけ、コンピューターサイエンス学部長につないでもらったすると、教え子のひとりだったが、卒業後、祖国のユゴに帰ったというそれを聞いて、なぜか興味がわいてきたアドリア海を望む岩だらけの斜面で、コンピューター言語に深く思いをめぐらせながら、羊の世話をしている男を想像した。
実際は、政府の研究所で働いているらしい不思議なことに、ニューヨーク州立大学の学部長は、ユーゴに帰った教え子の電話番号を知っていた。
これではまるで、ヒッチコックのスリラー映画ではないか。
身体がぞくぞくしてきた。
ぼくは時差をすばやく計算した。
ユゴはいま、夜の、そう十時ぐらいのはずだ。
当たって砕けろ、ぼくは受話器をとった何と言っているのかはわからないが、人のよさそうな老女の声が聞こえてきた「ラシャを探しているんですアメリカのカリフォルニアからかけています。
ひょっとしたら、そちらにいるかと思って」ぼくは、ファミリーネームを使わなかった。
親しい友人のふりをするのは危険でもあるが、あえてそのほうを選んだぼくの声はいま、地球の裏側で響いているのだ。
そのあと、長い沈黙があった。
しーんという音が聞こえるような沈黙だった。
「もしもし」若い男の声がした。
「一フシャ?」「そうですが」警戒した。
声だった。
「アメリカからの電話を受けると、何かまずいことがあるのかもしれないと心配になってきた「ゴールデンゲイトブリッジがあって、くねくね坂のRパドストリートがあるところですか」。
そう、そのサンフランシスコ凡なんだか、行けそうな感じになってきた。
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